2025-02-07
アガサ・クリスティー賞を受賞した作品は「同志少女よ、敵を撃て」の
他にもう1冊だけ読んだことがあります。
「入れ子の水は月に轢かれ」オーガニックゆうき(早川書房)
第8回のアガサ・クリスティー賞大賞の作品で、今はハヤカワ文庫
にもなっているようです。
舞台は那覇市。水上店舗が並ぶ所へ、上流の急な増水で
作業員が流された、救助のため暗渠に降りられる場所はないか
という緊迫した場面から始まっていたと思います。
読むきっかけは、2022年、沖縄復帰50年という事で新聞は連日
沖縄関連の記事を載せていました。その一つに、作家の
オーガニックゆうきの寄稿だったかインタビューだったかのが
ありました。その名前とプロフィールのアガサ・クリスティー賞の
文言にひかれて図書館で借りだしたのでした。
訳ありの登場人物たち、戦後の闇、そして何よりも川、水路、暗渠、
の方が「主人公」なのではないかというくらいの描写、庭に大きめの
マンホールがあって、救助隊がすんなり降りていけるなんて…。
不思議な熱量というか、妙に引き付けられると思いながら読みかけ
だったある日、最寄りの停留所をバスを降りた私はぎょっとしました。
消防士さんがマンホールをのぞき込んでいる!
落ち着いて見れば、それはマンホールではなくて消火栓の
四角い蓋、ホースが道路に沿って伸びているのを
はずしているところ。消火が終わってはずしているところというのは
後日話を聞いて類推したことで、その時は、とにかくその場を
離れたいと思ったのでした。どこが火事だったのか確かめもせず。
読んでいる物語にすっかりとらわれていたのでした。
早川書房のアガサ・クリスティー賞は、現在第15回の作品を募集中!
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